生前対策の重要性~4事例から学ぶ実務の勘所~
目次
相続は「亡くなった後の手続き」だけでは終わりません。生前設計、発生後の申告・納税資金、不動産や自社株の判断、放棄・限定承認といった法律的選択まで、領域横断の意思決定が連鎖します。本稿では、相談動向・最近の改正ポイント・代表的な4事例から、明日から役立つ実務の勘所を整理します。
1.相談のいま:何が増え、どこで詰まるのか
相続相談は「相続税」「相続手続き」「生前贈与」「認知症対策」「相続放棄」などに分かれますが、実際は不動産処分や納税資金の確保など、複数の論点が同時に絡みます。
近年は認知症対策のニーズが増加し、資産管理・承継の早期準備が重要性を増しています。
税務調査を見据えると、形式整備だけでは不十分です。
特に「相続直前の資産移動・売買」「家族間の資金移動」は通帳や残高証明だけでは把握しきれないことがあり、取引報告書・約定変更履歴・振込原資まで遡る突合が要点です。
2.令和5年以降のポイント:贈与の“セオリー”が変わる
相続時精算課税の見直し:選択後も年110万円の少額贈与を扱いやすく整理。高齢期の資産移転で戦略性が増しました。
暦年贈与の持ち戻し延長:相続前3→7年へ延長。延長4年間で通算100万円が加算対象外の扱い。
→「毎年110万円」の単純運用から、家族構成・健康状態・資産構造に応じた合わせ技へ。
各種一括贈与非課税の整理/医業承継の猶予制度整備:制度の使い分けがより重要に。
3.4つの事例にみる落とし穴と打ち手
事例A:税務調査対策―「直前取引」と「資金移動」の見落とし
背景:相続人が自主申告後、税務調査の連絡。
盲点:相続直前の有価証券売却や、相続開始1年前の家族間資金移動が残高証明に反映されていない。
対応:調査前に修正申告・証憑突合を完了。当日のヒアリングで収束、重加算税の回避。
学び:「残高証明×通帳×取引報告書」の三点突合を事前に完了させる。
事例B:生前設計がないまま申告期日へ―構造設計で税負担は変わる
背景:従前の顧問で相続対策の助言が乏しく、申告直前に相談。
打ち手:保有主体(個人/法人)設計、生命保険の非課税枠活用、自社株評価の適正化、不動産評価・譲渡時期の最適化、納税資金計画。
効果のイメージ:資産計1億円→4,700万円相当まで圧縮、相続税630万円→0円相当のシナリオ例。
学び:「保有主体×保険×株価×不動産×納税資金」をセットで設計すると、税負担と資金繰りは大きく改善。
事例C:不動産×個人×法人―“総合設計”がないと迷子になる
背景:不動産を多く保有。自宅評価の特例や譲渡のタイミングが焦点。
問題点:個人と法人の税務を別物と誤解/生前譲渡(取得費加算)や損益通算の理解不足/相見積もりなし/利回り計算の誤り/譲渡時期の検討不足。
対応:個人・法人・資金・時期を一体で再設計し、最低譲渡額の試算、自宅の譲渡、借入返済・納税資金の確保へ。
学び:「個人・法人・資金・時期」をワンテーブルで管理する総合相続対策が不可欠。
事例D:相続放棄・限定承認・保険―“自宅を守る”という選択
背景:被相続人は事業オーナー。法人は債務超過、相続人は自宅の維持を希望。
スキーム:一部相続人が相続放棄、主たる相続人が限定承認。生命保険金(受取人=相続人の固有財産)を原資に先買権を行使して自宅を取得、残余で整理を進め、連帯保証債務の履行を回避。
学び:負債が大きい局面では、放棄+限定承認+保険の三点セットで「自宅確保」と「債務遮断」を両立できる。
4.明日から使える“現場ルール”
証憑突合の徹底:残高証明/通帳/取引報告書の三点を相互照合。相続直前の動きは特に重点確認。
贈与は“状況対応型”へ:相続時精算課税の使い所と、7年持ち戻し前提での暦年贈与を組み合わせる。
個人×法人×不動産×自社株の一体設計:主体・時期・手段を同じテーブルで意思決定。
放棄+限定承認+保険:大きな負債や保証がある場合の現実的オプションとして早期検討。
5.まとめ:点の最適化から、線と面の設計へ
相続の成否を分けるのは、個々の節税テクニックではありません。誰の資産を、どの主体で持ち、どの制度を選び、いつ動くか—この“線と面”の設計が、税額・納税資金・家族の生活・事業継続性までを同時に左右します。
贈与のセオリーが更新され、認知症対策が当たり前になった今こそ、横断的にシナリオを描く力が求められます。まずは資産構成・家族構成・健康状態を棚卸しし、「三点突合」「一体設計」「法的選択」「キャッシュ設計」の順で前に進めていきましょう。
※本コラムは、実務資料をもとに個人名・会社名等を伏せて再構成したものです。制度の適用可否や税務判断は個別事情により異なります。詳細は専門家へご相談ください。
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