相続財産とは故人の残した財産的な権利義務のすべてをいいます。権利とは土地などの不動産、現金や預貯金、動産などのプラスの財産のことであり、義務とは借金などの債務で、マイナスの財産のことをいいます。
つまり、相続財産には、相続してプラスになるものとマイナスになるものがあり、また相続財産にならないものもあるのでしっかり調査する必要があります。
「ちゃんと財産は把握できているから」ときちんと調査されない方が多いですが、このような方が最も後々もめることになります。あなたが把握されているものが相続財産のすべてとは限りません。
また、相続財産は必ずしもすべてがもらって得(プラス)になるものとは限りません。
「どれが相続財産なのか」
「財産はいくらに相当するものか?」
「他にマイナスになる財産はないか」などにお困りになった場合は、迷わず専門家のアドバイスを受けて下さい。
民法上の遺産を引き継ぐ手続きでは、評価方法は定められておらず、一般的には、時価で換算することになります。
ただ、遺産の評価では、評価方法により相続税の評価額が変わることもあり、民法と税法上では、遺産の対象とその評価の扱いが異なります。ですから、遺産評価には専門的な判断が必要です。
また、財産目録には以下のような分類があります。
相続財産の種類 | 財産目録に載せる内容 | 書類 |
---|---|---|
土地および建物 | 【財産目録に載せる内容】
所在、地積、建坪、用途、現況(更地、駐車場など)の他物件を特定できる資料 貸物件は賃借人の氏名や資料などの賃貸条件未登記の物件は取得の経緯や理由を書く。 借地、借家の場合は、地主や家主の氏名、賃料 |
【書類】 登記簿謄本と公図・固定資産税評価額用地評価額とは、 「路線価評価」または「固定資産税評価類倍率」 のいずれかにより評価した金額 |
農地 山林 | 【財産目録に載せる内容】 所在や地積、賃貸物件は賃借人の氏名や資料などの賃貸条件 |
【書類】 登記簿謄本 公図・固定資産税評価額用地評価額 |
預貯金債券 | 【財産目録に載せる内容】 金融機関ことに、定期性預金と普通預金など流動性のものに分け、それぞれの口座ごとに残高を記入。 満期日や利息も計算しておくとなお良い。 債券は保護預りのものと無記名のものに分ける。現物は大切に所持。 | 【書類】 預貯金の通帳類、使用の印 債券の現物 |
株式 | 【財産目録に載せる内容】 銘柄、数など。売却制限はそれにも注意。 |
【書類】 株券かその預かり証 |
自動車 | 【財産目録に載せる内容】 種類・年式・ナンバーを記載。 個人名義・会社所有の区別 | 【書類】 車検証・登録証 |
会員権 | 【財産目録に載せる内容】 相続可能であることを確認。 施設名・連絡先・年会費なども控える | 【書類】 会員権の証書・カード |
動産 | 【財産目録に載せる内容】 高額と思われるものは一点ずつ記入。 わかりにくいものはできれば鑑定 | 【書類】 現物・鑑定書・預かり証等 |
生命保険 | 【財産目録に載せる内容】 会社ごとに受取人、金額を記載 |
【書類】 保険証券など |
特許権 著作権 | 【財産目録に載せる内容】 特に存続期間に注意 | 【書類】 登録証など |
貸金債権 売掛金 未受領の労賃 |
【財産目録に載せる内容】 金額、利息、満期があるものは満期などを記載しておくこと。 時効に注意 | 【書類】 借用書・売掛帳 給与明細・契約書の控え |
裁判上の 損害賠償・請求権 |
【財産目録に載せる内容】 民事係争中はそのまま記載する | 【書類】 訴状の控え |
相続人を確認した後、行わなければならないのが相続財産の確認です。
まずは被相続人の遺産をチェックします。
銀行の預貯金、自動車、債権証書、有価証券など様々あるでしょう。また不動産や骨董品なども含まれます。ありとあらゆる物をチェックしてください。
種類 | 評価 | 必要書類 |
---|---|---|
預貯金 | 【評価】 ・相続開始日までの預金残高 | 【必要書類】・遺産分割協議書 ・除籍謄本(被相続人) ・戸籍謄本(相続人)・印鑑証明(相続人全員)など |
不動産(土地建物) | 【評価】・土地は『路線価方式』又は『倍率方式』・建物は家屋固定資産税評価額×一定の倍率 | 【必要書類】
・土地建物所有権
移転登記申請書 ・除籍謄本 ・戸籍謄本 ・住民票など |
農地山林 | 【評価】 ・固定資産税評価額×一定の倍率など | 【必要書類】 ・土地建物と同じ |
自動車 | 【必要書類】 ・移転登録申請書 ・除籍謄本 ・戸籍謄本など | |
有価証券 | 【評価】 ・上場株(相続開始日の終値評価など) | |
家庭用財産 | 【評価】 ・家具、家電などは調達価格 | |
骨董品など | 【評価】 ・専門家による鑑定評価 | |
事業用財産 | 【評価】
・売掛金・貸付金 (相続開始日までの元本と利子) |
【必要書類】 ・債務者に残高確認 |
みなし財産 | 【評価】
・生命保険金※被相続人が保険料等を負担しているもの ・死亡退職金※会社の就業規則を遵守するので相続財産に入らない場合もある |
|
生前贈与 | 【評価】 ・相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けている場合、その贈与も相続財産に含めます。 |
これらが財産となりうるものです。
実は財産にも相続人にとってプラスになる財産、マイナスになる財産が存在します。
また相続財産に該当しないものもありますので、注意が必要です。
また、上記した財産を整理していくことは簡単ではありません。
財産の額が多ければ多いほど整理が煩雑になってきます。
そんな財産を整理していくときに活用すると良いのが、財産目録です。
財産目録とは相続財産を記入するための書類のことです。
ここではよく相続財産の対象になるものを中心にご紹介したいと思います。
預貯金、土地、株式、さらに車や家具以外にも、実は相続財産はこれらだけでなく、実に多岐に渡ります。
○現金、建物、土地、貴金属、車、家具など目に見える財産
○預貯金、有価証券(株式、国債、地方債、社債、手形)、貸付金などの金銭債権
○生命保険金
被相続人が保険料等を負担している場合は、相続財産に含まれます。
○賃貸借権
被相続人が住居を借りていたケースでは、その賃借権は原則、相続されます。
ただ、個々の契約や継承する人の地位により、必ずしもすべて相続の対象になるとは限りません。
○損害賠償請求権
交通事故が原因で亡くなられた被相続人の場合、病院の費用、もし死ななければ取得できたであろう収入(死亡による逸失利益)、慰謝料(加害者に対する被相続人のもの)などの損害賠償請求権は相続の対象になります。
借金などの債務も原則として相続され返済義務が生じてしまいます。
○死亡退職金、遺族年金など
退職金、遺族年金などの権利は、特別な理由がない限り相続財産に含まれません。
これは配偶者などが最低限の生活が送れるようにするためです。
○社員権(株主権)
会社における株主の地位などの株主権、また会社に占める地位は相続の対象になります。
ただ合名会社の社員権、合資会社の無限責任社員の社員権は原則、相続の対象となっておりません。
○祭祀財産(墓地、墓石、仏壇などの祭具)
被相続人からの指定がある場合はその者が、ない場合は慣習に従って祭祀を主宰する者が継承します。
※遺骨も同様です。
その他に「これ、相続の対象になるのかな」など疑問をお持ちの方がいらっしゃいましたら、気軽にご相談ください。
財産目録とは、被相続人が所有しているすべての財産(資産及び負債)を具体的に記載した書類のことです。
財産目録は相続財産を調査して、原則として相続人が共同して作成していきます。
納税証明書などから不動産や自動車は把握が可能で、貯金通帳や債権証書を見れば預貯金と債権・債務が把握できます。
ここでは財産調査についてご説明いたします。
相続財産を確定するためには、さまざまな資料を手掛りに財産調査を行わなければなりません。
被相続人の財産の把握には、次のような方法が考えられます。
なお、相続財産の調査に当たっては、プラスの財産だけでなく、借入金や未払金等のマイナスの財産も把握します。 また、生前に被相続人が行った財産贈与についてもその内容を確認しておきましょう。
財産の確定については、対象となるものも多く、1人で調べるにはかなりの専門知識と労力がいりますので、専門家に依頼することをお勧めいたします。
相続財産、財産目録の作成に関してご不明な点は、当サポートセンターまでお問い合わせ下さい。